先日BS朝日の「ザ・ドキュメンタリー」で山本直純さんを取り上げていた。

お亡くなりになってもう20年近くになるが、ぼくにとっては生涯忘れることのできない人である。

そして毎年この季節になると、編曲した楽譜を携え、学生服姿で直純さんのご自宅を訪ねたことを鮮明に思い出す。高校の卒業式が終わった数日後だった。直純さんはお留守で応対してくれたのは奥さんだった。

廊下には、作曲家志望の人たちが置いていったという楽譜が山と積まれていた。自分に音楽の才能がないことは自覚していたが、それらの楽譜を見て完膚なきまでに打ちのめされた。

作曲家になる夢を諦めた瞬間でもあった。でも、山本直純さんがぼくの心の師匠であることに変わりはない。

それから23年後、小説の原稿を手にしたぼくは高橋克彦さんの門を叩く。

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